SIRT|Sentinel Infrastructure Response Team

活動を支える仕組みを、
数字で共有できる形に。

災害時の現場活動は、水・食料・燃料・車両・人員といった
「後方の支え」があってはじめて続けられます。
SIRTが大切にしている後方支援の考え方と、
72時間標準セット、補給判断と情報共有の仕組みをご紹介します。

基本の考え方

自衛隊をはじめとする公的機関の物流・補給の知見を参考にしつつ、
民間の立場で無理なく実践できる形に整理しています。

被災地の負担にならない

自隊の水・食料・燃料・宿営は自分たちで備えます。地域の限られた資源を分けていただかないことが、いちばんの前提です。

備えの範囲で活動する

72時間を自己完結できる備えがあるかどうかを、出動を判断する際の大切な条件にしています。

現場は活動に集中する

調達・手配・記録は後方が受け持ち、現場の隊員が本来の作業に専念できる体制を目指します。

最初は標準セット、その後は実績で

初動は事前に定めた標準セットをお届けし、状況が落ち着いてからは実際の消費量に合わせて補給します。

段階的に拠点を設ける

後方集積点、前進拠点、各ユニットの3段階で物資を受け渡し、現場の混乱を抑えます。

状況を数字で共有する

「あとどれくらい活動できるか」を日数や時間で表し、関係機関の皆さまともわかりやすく共有します。

後方支援の体制

後方支援は、各ユニットに分散させず、横断的な機能としてまとめています。
資機材や燃料が重なって不足することを防ぐためです。

後方集積点

本社・倉庫など。備蓄の管理、調達、協定先との連絡を担います。

前進拠点

被災地の外縁に設ける活動の基盤。給水、燃料、整備、宿営の支援を行います。

現場

各ユニットが携行した分で活動します。後方要員を現場に常駐させない設計です。

機能役割
補給(LOG-S)在庫管理、物資の受入・仕分け・払出、消費量の把握
輸送(LOG-T)配車計画、ルートの選定、積載と運行の管理
燃料(LOG-F)燃料車の運用、油種ごとの管理、協定先との調整
整備(LOG-M)車両・重機の点検、現場での応急整備、予備部品の管理
拠点(LOG-B)前進拠点の設営・維持、給水、衛生環境、宿営
管制(LOG-C)状況報告の集約、車両の動態管理、通信の運用
管理(LOG-A)協定に基づく記録、契約・精算、労務、保険、関係法令の確認

72時間の後方支援の流れ

発災から72時間は、人命に関わる大切な時間帯です。後方の動きを時間ごとに整理しています。

72時間標準セット

1交代(約25名)が、被災地の資源に頼らず3日間活動できることを目安にした備えです。数量は、一般的な防災備蓄の目安をもとに算出しています。

算出の例(25名・3日間)

  • 飲料・調理用の水:1人1日 3リットル × 25名 × 3日 = 225リットル
  • 食料:1人1日 3食 × 25名 × 3日 = 225食
  • 簡易トイレ:1人1日 5回 × 25名 × 3日 = 375回分
  • これらは最小限の目安です。季節や活動内容に応じて上乗せします。
セット主な内容算定の考え方
A 水・食料飲料水、調理用水、食料上記の目安を基準に、人員数と日数から算出。
自隊分と外部への提供分は物理的に分けて管理
B 衛生簡易トイレ、ごみ袋、手指消毒、マスク、手袋1人1日5回の目安から算出
C 燃料軽油・ガソリン・潤滑油車両・重機・発電機ごとの消費量 × 想定稼働時間に、余裕を加えて算出。油種別に管理(余裕の割合は訓練の結果をもとに設定)
D 宿営・設営テント、寝具、照明、仮設資材人員数に合わせて準備。拠点の立ち上げに必要な最小構成
E 通信・電源衛星通信機材、可搬型発電機、予備バッテリー、簡易無線主要機材に予備を加えて構成
F 整備・応急部品点検工具、タイヤ、フィルタ、油脂類、応急修理材車両・重機の種類ごとに、停止の原因になりやすい消耗品を優先
G 安全・応急手当保護具、応急手当用品、防疫用品活動人数分。医療行為は行わず、隊員自身の安全確保と応急手当の範囲に限る
H 記録・管理状況報告様式、物品台帳、防水ケース、筆記具通信が使えない場合も記録を残せるよう、紙の様式も備える

補給判断と情報共有

「あとどれくらい活動できるか」「次に何が必要か」を、現場と後方が同じ言葉で共有することが、途切れない補給の前提です。

残量を日数・時間で表す

水・食料は「あと何日分」、燃料は「あと何時間稼働できるか」など、誰が見ても同じ意味で読める単位で共有します。

定時報告と変化時の随時報告

あらかじめ決めた時刻の報告に加え、故障・欠品・ルート変更など状況が変わったときは、すぐに後方が把握できる経路を用意します。

要望は品目・数量・時刻・場所まで

補給の要望は、品目、数量、希望の受取時刻、受け渡し場所をセットで伝え、手配の手戻りを減らします。

全体状況の自己評価

当面支障なし/近く補給・整備が必要/早急な補給が必要、など段階を決め、訓練を通じて基準をそろえます。

安定

当面の活動に支障がない状態です。

注意

近く補給や整備が必要になる見込みの状態です。

要補給

早急な補給・調整が必要な状態です。後方へ速やかに共有します。

段階の目安となる数値は、訓練で実際の消費量を確かめながら定め、組織全体で統一します。

訓練と継続的な改善

標準セットや報告の基準は、一度決めて終わりではなく、訓練と実活動の振り返りで更新していきます。

図上・実動訓練

積み込み、輸送、拠点立ち上げ、報告の流れを事前に確認し、詰まりやすい点を洗い出します。

消費実績の記録

水・食料・燃料・部品の実績を残し、標準セットの過不足を次の備えに反映します。

協定・法令との整合

輸送・燃料・通行に関する手続や記録を、協定と関係法令の範囲で見直し続けます。

運用にあたって大切にしていること

関係機関の皆さまと安心して連携できるよう、次の点に配慮しています。