Training & Exercise // SIRT
SIRT 実働訓練の様子

SIRT 災害対応訓練

発災時に「初めてやる」ことを減らす——それが訓練の目的です。
人命救助は公的機関の任務とし、SIRTはインフラ復旧・通信・兵站・避難環境に特化。
技能だけでなく、指揮・報告・安全中止・他機関との境目まで一体で習熟します。

72H
Deploy Target
4
Training Types
6
Response Phases
DIV-07
Lead Division

訓練の種類

訓練は「見せるため」ではなく、失敗を安全に経験し、手順を身体に残すために設計します。
単発のイベントではなく、月次・専門・合同・机上を組み合わせ、発災72時間の動きを繰り返し再現します。

Monthly

月次ユニット訓練・装備点検

重機・ドローン・通信機材の動作確認と、道路啓開の基本手順、指揮・報告の習熟を毎月実施。新規隊員の「現場で迷わない最低ライン」をここで担保します。

  • 全装備の機能点検・校正・不具合の修理手配
  • 燃料・消耗品・医療キットの在庫更新と期限管理
  • 隊形・呼称・無線プロシージャの統一確認
  • 安全中止・撤退基準の口頭確認(毎回)
Joint

官民合同・想定訓練

自治体・消防・ライフライン事業者と連携し、南海トラフや警固断層等のシナリオで実働。Vanguard(先遣)→啓開部隊→K9-GUARD(警戒)の一連の流れを、連絡の「初対面」ごと潰します。

  • 道路啓開・通信展開・給水/発電拠点の同時進行
  • Vanguard先行偵察と本隊(RIRU等)の合流タイミング
  • K9-GUARDによる作業区域・避難所外周の警戒連携
  • 災対本部との情報様式・ホットラインの実地確認
  • 役割境界(救助は公的/啓開・兵站・警戒支援はSIRT)の再確認
Specialized

専門技能訓練

ユニット別に任務特化の技能を維持。装備が動けても、判断と記録が伴わなければ現場では使えません。Vanguard・K9-GUARDとの交差訓練も定期実施します。

  • RIRU/CEC:瓦礫処理、仮設道路、盛土、倒木・土砂
  • Vanguard:先遣偵察、進入路の一次判断、危険箇所のマーキング
  • DRC/GEO:橋梁一次点検、孤立確認、GIS共有
  • K9-GUARD:警戒巡回、夜間の見守り、避難所外周の静穏化支援
  • 通信・兵站:Starlink展開、宿営、燃料・資機材輸送
  • C-SAT:避難所レイアウト補助、物資動線、運営側との調整
Tabletop

BCP・机上・資源競合演習

安否・本部・フェーズ移行に加え、「応援に出した直後に地元が被災する」資源競合シナリオを机上で検証します。

  • BCP起動〜ホットライン開設〜安否完了までの時間計測
  • Phase1〜6の判断ポイントとエスカレーション
  • 警固断層等の複合想定・留保兵力の使い方
  • 対外発表・記録様式・次班への引継の机上リハーサル
Field Training — 実働訓練の様子

標準タイムライン(訓練で再現)

Phase 1発災〜30分
発災報の受信とBCP起動。全隊員の安否確認システム起動、対策本部の設置、自治体・ライフライン・協定先とのホットライン開設。この段階では現場に出る前の指揮系統確立を最優先とする。
Phase 230分〜2時間
要請内容の確認後、Vanguardが先遣として進入路・危険箇所を一次判断し、DRCドローンとGEOが広域調査・道路閉塞・橋梁一次点検・液状化を可視化。重機搬入ルートを選定し、写真・位置情報を災対本部へ共有する。
Phase 32〜6時間
Vanguardの情報を受け、RIRU/CECが道路啓開・倒木・瓦礫・土砂除去、応急盛土・仮設道路を実施。通信・兵站がStarlink展開と資機材搬送・宿営を並行。K9-GUARDは作業区域外周の警戒・静穏化を支援(警備業法の範囲・協定に基づく)。救助部隊の進入路確保を最優先の判断軸とする。
Phase 46〜24時間
仮設給水・発電・照明・トイレの展開、C-SATによる避難所運営補助(動線・物資・情報掲示)。K9-GUARDは避難所外周・夜間の見守りを協定範囲で支援。帰宅困難者対応は自治体と連携し、SIRTは環境整備と兵站に徹する。
Phase 524〜72時間
道路・橋梁・法面・護岸の応急復旧、上下水の仮復旧準備、公共施設の応急補修。本復旧への橋渡しとなる施工計画のたたき台を、発注機関の指示に合わせて作成する。
Phase 63日以降
応急から本復旧工事への移行。道路・橋梁・港湾・河川・上下水・公共施設等を、自治体・発注機関の指示のもと施工。教訓はTOTの教材と次回協定・訓練計画へ還元する。
Response Phase — 展開フェーズ

想定シナリオ例(詳細)

各シナリオはVanguard(先遣)→ 本隊啓開・兵站 → K9-GUARD(警戒・見守り)の連携を前提に設計します。 時間は訓練用の仮定であり、実災害では自治体の要請と現場安全が優先されます。

Vanguard × 本隊 × K9-GUARD 連携の型

先遣Vanguard
少人数・機動重視。進入路の一次判断、危険のマーキング、写真・座標の速報。重機本隊より先に「行ける/行けない」を返す。無理な突入はしない。
本隊RIRU / 他
先遣情報を受けて啓開・応急・通信・兵站を展開。Vanguardからの引継事項(危険物・住民・他機関の位置)を作業前ブリーフィングで共有する。
警戒K9-GUARD
作業区域・拠点・避難所外周の見守りと静穏化。警備業法・動物愛護・条例・保険を遵守。救助・逮捕・強制力は持たない。犬とハンドラーは常にペアで行動。
統合OCC / NRI
先遣・本隊・警戒の状況を一枚の作戦図に載せる。自治体・消防への報告窓口を一本化し、重複出動と空白地帯を防ぐ。

OCC と NRI — 管制と調整の役割

現場の重機や先遣が動くほど、誰が全体を見て、誰が行政と話すかが重要になります。
OCCは「内」の指揮・状況認識、NRIは「外」の窓口・調整を主に担う、訓練上の役割分担です。

OCC

Operations Control Center(管制)

自隊の活動を一枚の状況図に載せる中枢。元警察・消防・海保・自衛官OB等が中核となる想定の管制機能です。

  • 対策本部の設営・交代・通信の冗長化
  • 安否確認の集約と未確認者リストの管理
  • Vanguard/本隊/K9 等からの報告の受信と整理
  • 作業区域・危険区域・進入禁止の指示
  • 安全中止・再開の最終判断支援(現場長との連携)
  • 活動記録・時刻・位置のログ化(AARの材料)
NRI

国土レジリエンス本部(対外調整)

自治体・省庁・協定先・ライフラインとの窓口。現場用語と行政の優先順位を翻訳し、重複出動と空白を防ぐ。

  • 災対本部への連絡官(LO)配置・ホットライン維持
  • 要請の受付・範囲確認・協定条項との突合
  • 応援先の調整と「留保兵力」ルールの運用
  • 報告様式の統一(相手が読める形にする)
  • 他機関(消防・警察・自衛隊)との境界確認
  • 対外一次連絡・公表文案の整理(窓口一本化)
分担原則
OCC=自隊が今どこで何をしているか。NRI=行政・協定が何を求めているか。両方を持たないと、速い部隊ほど迷走します。
発災直後0〜1h
OCC:安否・本部・通信確立。NRI:協定先への連絡開始、要請の有無確認、情報の受信窓口を開く。
現場出動の可否は両者の情報が揃ってから判断する訓練にする。
展開中2h〜
OCC:部隊位置・進捗・危険の更新。NRI:災対本部への定時報告、優先ルート変更の受信、他部隊との調整。
報告は「事実」と「判断」を分けて渡す。
複合時資源競合
NRIが「呼び戻し/残留」の材料を行政と共有し、OCCが自隊の安全と残存戦力を数字で示す。
感情や推測だけで動かないことを訓練の評価点にする。

ユニット別・発災後72時間の動き(訓練想定)

標準タイムラインを誰が・いつ・何をするかに分解した訓練用モデルです。
実災害では要請・安全・法令が優先され、時間は前後します。

ユニット 0〜2h 2〜24h 24〜72h
OCC/NRI 本部設置・安否・ホットライン・要請受付 優先順位の更新・報告様式の統一・資源配分 中期計画・呼び戻し判断・対外窓口
Vanguard 先遣・進入路一次判断・危険マーキング 本隊誘導・ルート再確認・短時間再偵察 必要に応じ広域の二次偵察(無理な突入なし)
DRC/GEO ドローン離陸準備・広域撮影計画 閉塞・橋梁・液状化の可視化・GIS共有 進捗の再撮影・記録のアーカイブ
RIRU/CEC 編成・搬入路確認・重機起動点検 啓開本隊・仮設道路・倒木土砂除去 応急復旧・仮設から本復旧の橋渡し準備
ECU 危険構造物の情報収集(遠隔優先) 法面・高架・倒壊危険の応急措置 安定化工事・解体判断の材料提供
通信・兵站 機材チェック・燃料・衛星端末準備 Starlink展開・宿営・資機材搬送 補給線の維持・交代班の受け入れ
C-SAT 待機・避難所情報の収集 動線・物資・生活環境の支援開始 運営補助の継続・QOL改善の提案
K9-GUARD 犬・ハンドラーの安否と出動可否 作業区域/拠点外周の警戒(協定範囲) 避難所夜間見守り・静穏化(法令遵守)
CID/CIPS 重要施設側との連絡・進入条件確認 進入路確保支援・軽微補修(協定) 施設側復旧との境界を維持した継続支援
TCB/TOT — 仮設インフラ展開の準備(要請時) 仮設展開・訓練記録の教材化開始

「—」は当該時間帯に主任務がないことを示します。訓練では空いている時間に何をするか(点検・交代・記録)も手順に含めます。

合同訓練の1日フロー(例)

T-60集合前
安全ブリーフィング資料・参加者名簿・無線チャンネル・撤退基準の配布。自治体・消防・SIRTの役割表を共有。
OCC/NRIの机上配置(誰が災対本部役か)を決める。
T-30開会
目的・シナリオ・評価指標の確認。救助領域に踏み込まないことの再宣言。犬・重機・ドローンの運用区域を地図上で指定。
T0シナリオ開始
発災報(想定)を配信。OCCが本部設置を計測開始。NRIがホットライン開設を計測。Vanguard出発、他ユニットは準備完了報告。
演習中実働
啓開・通信・警戒を並行。評価員は時間・幅員・報告様式・境界逸脱の有無を記録。
OCC↔現場、NRI↔災対本部役の通信が途切れないかを見る。危険が生じたら即中止。
終了Hot Wash
現場で良否・危険・逸脱を共有。機材点検・犬のクールダウン。解散前に未回収物・残置燃料がないことを確認。
数日後AAR
指標集計、写真・ログの突合、改善アクション(担当・期限)。次回訓練のシナリオに反映。

合同訓練シナリオ詳細(パッケージ例)

半日〜1日で回せる想定です。参加者にはあらかじめ役割カード(OCC/NRI/現場長/評価員/災対本部役)を渡します。

コントローラー(演習統裁)が用意するもの

  • シナリオ台本(注入時刻・内容・想定反応)
  • 地図・閉塞箇所・避難所レイアウトの紙またはデータ
  • 役割カードと評価シート(時間・境界・報告の3列でも可)
  • 中止基準のカード(天候・受傷・犬の状態・住民役の安全)
  • 災対本部役・施設管理者役のスクリプト(要請文の例)

安全・法令・境界(訓練で必ず触れる項目)

Law

動ける範囲の明示

建設業法・道路法・警備業法・電波法・航空法(ドローン)・動物愛護関連。訓練シナリオに「やってはいけない例」を1つ以上入れる。

Safety

中止・再開の基準

落雷・暴風・視界不良・犬の過熱・隊員の体調。誰が中止を宣言できるかを氏名ではなく役割で決めておく。

Boundary

救助・治安への不介入

要救助者を発見した場合の通報手順のみ訓練する。捜索・救出・規制は公的機関。SIRTは道と情報と環境。

K9

犬の運用ルール

ハンドラー常時同行、休憩・給水、公衆衛生、他者への配慮。威圧目的の運用はしない。保険・条例の確認をチェックリスト化。

Exercise Scenario — 想定訓練

訓練設計の原則

Safety

安全が最上位

訓練中も本番と同じ撤退基準を使う。無理な強行は「成功」ではなく手順違反として記録する。

Boundary

役割の境界を守る

救助・治安は公的機関。SIRTは啓開・通信・兵站・避難環境。境界を曖昧にしないことが連携の条件。

Measure

測れる形で振り返る

「うまくいった」で終わらせない。時間・幅員・通信確立・報告回数など、数字と記録で改善点を残す。

Repeat

繰り返し、初めてを消す

年1回の大イベントより、月次の小さな反復。発災時に初めてやる動作を、計画的に減らしていく。

評価指標(Example)

指標は「競うため」ではなく、次回の改善点を見つけるために置きます。数値目標は協定先・現場条件に合わせて調整します。

指標 確認内容 目安・観点
対策本部設置 発災報受信〜本部設置・安否開始 指揮系統が「誰か」ではなく「役割」で動くか
安否確認完了率 対象隊員の安否が揃うまでの時間と割合 未確認者リストの管理ができるか
道路啓開・通行幅 緊急車両が通れる幅員の確保時間 優先ルート選定の判断根拠が残っているか
通信確立 Starlink等による通信確立 目安20〜30分。冗長手段の切り替えも含む
情報共有の継続 自治体・消防とのホットライン 途切れないか/様式が相手に読めるか
安全中止判断 悪天候・夜間の中止・再開 手順どおりか。強行していないか
記録・引継 活動記録と次班への引継資料 第三者が読んで再開できる完成度か
境界遵守 救助・治安領域への不介入 合同訓練での役割逸脱の有無
Vanguard先遣報告 本隊投入前の通行可否・危険の速報 座標付き・判断理由が残っているか
K9連携 作業区域/避難所外周の警戒引き継ぎ 協定・法令の範囲内か、犬の安全管理ができているか

振り返りと改善の流れ

即日Hot Wash
現場を離れる前に、良かった点・危険だった点・手順逸脱を口頭で共有。感情と事実を分けてメモする。
数日以内AAR
After Action Review。指標データ、写真、報告様式を突き合わせ、改善アクションを担当と期限付きで決める。
次回訓練反映
手順書・初動カード・装備リスト・協定メモを更新。同じ失敗を「想定内」にしない。
訓練の主管は DIV-07(訓練・教育/TOT・関連部門)です。実働は各事業部・ユニットが担い、発災時は ICS の指揮系統へ再配置されます。
自治体との防災協定・合同訓練を平時から実施し、有事は「初めて会う相手」にしないことを方針としています。
訓練内容・評価指標は協定先の要請と法令の範囲内で設計します。人命救助・治安維持は公的機関の任務です。
K9-GUARDの警戒は警備業法・関係法令および協定の範囲に限り、Vanguardは偵察・一次判断に徹し、無理な突入訓練は行いません。