大規模災害の初動で、自治体は「対応する側」であると同時に、自らも「被災する当事者」になります。職員、庁舎、通信、重機、そして時間。そのすべてが同時に不足する局面を、私たちは例外ではなく前提として、この組織を設計しました。
初動の空白は、構造の問題である
発災直後の数時間から数日、道路は寸断され、情報は断片的にしか集まりません。消防、警察、自衛隊、そして自治体職員は、それぞれの任務に全力であたっています。それでもなお、人員・資機材・情報のいずれかが追いつかない領域が生まれます。
これは、誰かの努力が足りないから起きるのではありません。広域・大規模な災害では、平時の体制のまま全領域を担うこと自体が難しい。だからこそ必要なのは、公助を置き換えることではなく、公助の任務の外側にある領域を、あらかじめ合意した形で民間が担うことだと考えています。
公の任務を侵さず、空白を埋める
人命救助、治安の維持、交通規制。これらは公的機関の任務であり、SIRTは踏み込みません。私たちが担うのは、道路啓開、重要インフラの応急対応、被害状況の把握、避難生活の支援です。いずれも、民間の施工力と機動力が活きる領域に絞っています。
出動の根拠は、自治体との協定と要請、そして安全基準です。関係機関との調整の枠内で動き、民間であることを明示して活動します。「誰が、どの権限で、何をしているのか」を説明できること。それが、行政の皆さまに安心して任せていただくための最低条件だと考えています。
窓口は一本に。必要な機能だけを組み合わせる
SIRTは、元自衛官を中核に、建設の施工力、ドローン・GIS・通信などの先端技術、そして平時の事業基盤を一体化した機能ユニットの集合体です。道路啓開、重要施設の防護、状況把握、避難生活の支援といった機能ごとに、11の事業部・ユニットを編成しています。
自治体の側に必要なのは、「どこに、何を、どう依頼すればよいか」が明確であること。SIRTでは管制(OCC)と国土レジリエンス本部(NRI)が情報集約と調整の窓口を一本化し、局面に応じて必要なユニットだけを動かします。
行政が任せられる、運用の品質
現場で大切なのは、勢いではなく再現性です。指揮を執るのは、規律と判断を身体に刻んだ元自衛官。その隣に、技術者、ライダー、そして看護・保育・調理・語学など暮らしの側から来た仲間が並びます。組織を動かす人と、日常に寄り添う人。どちらか一方では、道路も避難所も、本当の意味では回りません。
報告は、見た事実と現場の判断を分け、日次で共有します。活動は2名1組を基本とし、撤退の基準を事前に定めます。支援する側が倒れない運用こそが、現場に立ち続ける力になるからです。
協定は、結んだ日から始まる
いざという力は、平時の仕事の中にしかありません。私たちは、建設、点検、訓練、巡回を事業として毎日続けています。磨き続けた技術と機材だけが、発災の瞬間に使える力になるからです。
そのうえで、自治体の皆さまとは、地域防災計画、国土強靱化地域計画、業務継続計画(BCP)との整合を図りながら、合同訓練や受援の想定づくりをご一緒したいと考えています。訓練で得た教訓は、次の協定設計に反映します。備えをイベントで終わらせず、計画と運用に定着させる。それが私たちの流儀です。
行政の皆さまへの、四つの約束
事実を、正確に報告する
見たものと、現場の判断を分けて伝えます。日次報告で、自治体・関係機関と状況を共有します。
役割の境界を守る
協定と要請の範囲で動きます。救助・治安・交通規制は公的機関の任務であり、踏み込みません。
二次災害を出さない
2名1組と撤退基準を明確にし、安全を最優先に。無理をしない運用で、継続して現場に立ちます。
平時から、顔の見える関係を築く
締結後も合同訓練と計画への反映を重ね、協定の実効性を磨き続けます。
名を売るためではありません。必要なとき、必要な場所に、合意した形で立つ。そのために、役割分担と出動条件の整理から、ご一緒させてください。自治体・官公庁・インフラ事業者の皆さまからのご相談を、お待ちしています。